INTERVIEW

一癖ある人こそ、世界を変える

株式会社ウィズテック

代表取締役CEO 日向亮介

株式会社ウィズテックは、“「やりたい」を、かたちに。”をビジョンに掲げ、SES事業、オンライン教育事業、ブランディング支援事業を柱に個人や会社、社会の「やりたい」の実現に貢献してきた。さらに社員の個性を大切に、社員の意向を最重要視した業務配分により働きやすい組織を作り上げ、SES業界に新風を吹き込んでいるのも大きな特徴の一つだろう。同社の代表取締役CEO日向亮介さんに話を聞いた。

「ホワイトなSES事業」を掲げた決意

従来、SESの業界はどうしてもグレーなイメージがつきまとうものでした。エンジニアとして活躍したい、経験を積みたいと願っても希望の現場に行けなかったり、そのために思い描くキャリアビジョンが叶わなかったりすることが多々あったのです。2019年に創業した当社は、そんなSES業界の状況を鑑みて、「ホワイトなSES事業」を方針とし、エンジニアに寄り添う形で事業を続けてきました。例えば、エンジニアのキャリアビジョンをヒアリングしてから現場を決めているほか、現場に入っても定時に退勤できるような体制を整えています。さらに半数以上が未経験での採用なので、入社後はレベルに合った研修を実施し、現場に入ったときにスキル不足によるギャップが生じないように配慮しています。

こういったエンジニアに寄り添う事業を続けてきた結果、常駐先からの2022年の年間クレームは0件という数値を達成。SESの営業職というのは日々クレーム対応に追われるものですが、他のSESの会社様と比較すると当社の場合は圧倒的にクレームが少ないのです。そこはエンジニアに寄り添った組織の仕組みが、このような結果にも繋がっているのだと確信しています。

“「やりたい」を、かたちに。”のビジョンに込めた想い

当社のビジョンは、“「やりたい」を、かたちに。”です。このビジョンに込めた思いとしては、業界全体の背景も要因の一つに挙げられるでしょう。企業がサービスを開発して売上を上げたいと思っても、今は特にIT人材の不足が深刻なため、なかなかエンジニアが集まらずにリソースが不足し、サービス開発という企業のやりたいことが実現できないという状況が起きています。そこに当社のエンジニアを送り出すことで、その会社のやりたいことを形にできるように支援していきたいという思いが根底にありました。

さらにスキルが足りなくて自分のやりたいことが実現できないという個人に対して、当社の教育サービスを通してスキル面をサポートし、やりたいことが実現可能な社会にしていこうと進めています。SES事業を通じて顧客の開発業務支援し、オンライン教育サービスを通じてリスキリングの推進を支援する。そうやって“「やりたい」を、かたちに。”するための事業を展開しています。またビジョンの更なる実現のために、新規事業も複数立ち上げて現在進行中の段階。その一つが、SES企業向けのインナーブランディング支援です。

SES企業向けブランディング支援

これまで当社がSES事業としてインナーブランディングの施策を続けてきた中で得たノウハウをもとに、SES企業向けのインナーブランディング支援サービス「Wizコネクト」をスタートしました。「SES企業がブランディングまで行うのですか?」と驚かれることもありますが、SES企業だからこそ、SES企業の支援ができると感じています。私自身、当社の親会社で10年程ブランディングの仕事に携わって来た中で、組織の規模の大きさを問わず、どの企業にもブランディングは必要不可欠だと実感してきました。例えばSES業界では月に1回程度、常駐先から会社に集まる帰社日が設けられているのが一般的ですが、当社はその時間を“皆で自社のことを考える時間”として割り当てています。未来のウィズテックをどんな会社にしたいかチーム毎に考え、プレスリリースを作ることもあります。やはり客先常駐をしていると帰属意識もだんだんと薄れてしまうのは事実ですので、全社員が目的意識を共有し、個々が自信を持って業務を行えるような環境にしていくことは非常に重要でしょう。そうした取り組みの中で一定の効果が見られた施策を体系化し、他のSESの会社様にもサービスとして提供していきたいと考えたのがブランディングサービス発足の原点でもありました。

そのほか、アウターブランディング支援サービス「minitto(みにっと)」ではTikTokを活用した採用広報の内製化支援や運用支援を通じて、企業の魅力を伝えていくブランディング支援サービスです。CMを出稿できるような予算が潤沢な大企業だけではなく、SNSを活用しきれていない中小企業の皆様からも大変好評をいただいています。

社員数問わず一律金額で提供する異例のオンライン教育

“「やりたい」を、かたちに。 ”を実現するために、当社が新規事業としてスタートさせたのがオンライン教育サービス「Wiz学eラーニング」です。今巷にはさまざまな動画講座が溢れていますが、数十分の時間をかけた動画が非常に多く、学びに大切な反復学習がしにくいという課題がありました。当社はそれらをショート動画で提供することで、繰り返し見て学習効果を高めていただくことを可能にしています。

価格は、社員数に関係なく年額5万5千円(税込)。世の中のeラーニングが社員一人当たり月額いくらという仕組みの中で、この価格は破格であると思います。コストによって学ぶ機会が失われてしまうのはSDGsの観点から外れますし、どんな環境下であっても意欲さえあれば誰でも学べる仕組みを提供したいと考えてきました。利用制限もありません。個人の方にも月額550円(税込)で提供していますので、ぜひ学んでいただきたいと思っています。「Wiz学eラーニング」は、Microsoft Office系ソフトの講座と、ITパスポート資格のための講座の2種類を用意しています。ITパスポートは、大手企業を中心に社員全員に取ってもらおうという機運が生まれています。エンジニアだけではなく、社会人なら誰しも知っておくべき知識が得られるため、ぜひ多くの方に資格取得を目指して学んでいただきたいと思っています。

モノゴトの本質を見失わない

「Wiz学eラーニング」でOffice系の講座を提供しているのは、大きな理由があります。現代では各企業でDX化の推進が叫ばれて久しいですが、何か高度な技術を使わなければDX化ができないと思い込んでいる企業もあるでしょう。しかし実際は、普段当たり前に使っているExcelやWordといったOffice系ソフトを社員一人ひとりがスキルを上げて使いこなせるようになれば、それこそがDX化で生産性を高めることに繋がるのです。仕事ができる社員一人に業務が偏ることもなく、残業代も削減できるでしょう。

常に本質を見失わないように仕事をすることは、とても大切なことだと私は思います。ダイバーシティの推進についても、それ自体を目的にするのではなく、目的達成のためのピースでなければならないと感じてきました。社員の幸福と業績の向上、そのためのダイバーシティであり、DX化と同様に目的達成のための過程として考えることが大切なのです。手段が目的と化してしまえば、そこで行き止まりになり幸せにしたいと思っていた社員を逆に不幸にしてしまうかもしれません。日本の企業組織はこれまで、トップに経営者、その下にマネージャーがいて、最後に従業員がいるというピラミッド型のヒエラルキー構造が通例となってきました。ですが、当社の目指す組織は同じ階層に皆がいて、目的を共有して円を作る、誰もが主役になれる組織に他なりません。多様性のある社員がそのまま成長し、目的を共有していれば自律して動いていく。そんな組織づくりをこれからも続けていきたいと考えています。

やりたいことを実現するために支援を続ける

私自身もそうでしたが、やりたいことはあっても会社に属している以上できないという葛藤を抱えることもありました。でも諦めが悪いタイプなので、どこかのタイミングで絶対にやってやるんだと思い続け、タイミングが来たときに改めて提案し、自分の思いを実現してきました。諦めないからこそ、実現できることもあるということです。自社の社員にも、自分のやりたいことを形にするために諦めないでほしいと願っています。そのためにも会社として、働きやすい制度や福利厚生の用意をしているのですから。

当社はSES事業から教育支援、ブランディング支援と事業を広げていく過渡期にあります。これから社会に出て日本を背負って立つ若い方々も、自分自身をブランディングしていき、自分の価値を高めてもらいたいと期待しています。会社の規模や肩書ではなく、「あなただから一緒に仕事をしたい」と思われる輝きを放ってほしい。当社では癖のある人も大歓迎しています。色々な価値があってこそ、豊かでより良い会社になっていくでしょう。これからも企業と人の双方のやりたいことを実現する企業であり続け、社会に貢献できればと思っています。

株式会社ウィズテック

代表取締役CEO

静岡県出身。25歳のとき、建設システムに営業として入社。営業職を経験したのち、販売促進や企画、広報部門へ転身し、様々な職種を経験後、経営企画部を立ち上げる。経営企画部では、経営戦略やビジョン策定、ブランディング、SDGs・CSRなどへ取り組みなど様々なプロジェクトを運営。2022年3月にSES事業の株式会社ウィズテック(子会社)の代表取締役CEOに就任。